始める前に『運営許可』の理解を
不動産投資でシェアハウスの運営を検討する場合は、運営許可を理解したり確認することが大切です。
施設を貸して住まわせる以上は、該当する法律の基準を守る必要があります。
シェアハウスで該当するのは賃貸借契約なので、旅館業法の簡易宿泊許可は不要です。
ただし、簡易宿泊許可が不要とはいっても、建築物が建築基準法の定める条件を満たすことは不可欠です。
国土交通省による過去の見解では、この業態の物件は建築基準法上、寄宿舎として扱われることとされています。
相応の設備が求められるので、施設内の必要な条件を満たしてから、運営許可基準のクリアを目指すのが合理的です。
具体的には防火設備や耐火機能を始めとして、採光や換気に防湿性能などが問われます。
一定の空き地も必要となりますから、不動産投資を行う際には、これらを想定して物件を確保することが肝心です。
ただし、シェアハウスを従来の寄宿舎で扱うと、殆どの物件が建築基準法違反になることが分かりました。
そこで国土交通省は新たに、規制を緩和する方向で新たな基準を提示しています。
平成27年の新規制案改定後
平成27年には新規制案が盛り込まれた法律が施行され、これまで曖昧だった基準が明確化されています。
新基準は延床面積が200平方メートル以下、階数は3階以下で、寝室数は合計12部屋以下という内容です。
この基準に賛否両論はありますが、時代に追い付いていなかったルールが見直され、新しいルール作りが進んだことは評価に値します。
これで不動産投資のネックは解消され、本格的な運営の計画や運営許可の条件クリアが行いやすくなっています。
基本的にこの業態は賃貸借契約ですが、運営内容によっては旅館業に抵触する恐れがあるので、予め確認してから事業を始めることが問われます。
簡易宿泊許可の取得が求められるのに、未取得で知らないまま経営していた、これでは後々問題となるはずです。
経営の継続が難しくなるばかりか、利用者に迷惑を掛ける事態にもなり得るので、事前の確認と運営許可のクリアがポイントとなります。
旅館業に該当するのか?
旅館業に該当するか否かは、具体例を参考にして一つずつ確認するのが基本です。
例えば、室内清掃や寝具の交換を行うサービスの提供は、旅館業に該当する代表的な具体例です。
他にもオーナーが清掃の発注を代行したり、清掃料金を立て替えるなども、賃貸借契約の範囲を超えるサービスにあたります。
清掃業者がオーナーの指定によるケースも、旅館業の具体的な行為とみなされます。
簡易宿泊許可の基準は曖昧な部分が多いので、既存の事例を元に判断する他ないといえます。
逆に賃貸借契約で済ませる為には、該当する事例を回避する方向で検討するのが鉄則です。
室内の清掃は利用者が行う、このようなルールは旅館業の抵触回避に有効です。
更に寝具の交換や洗濯も利用者の担当にすると、賃貸借契約でシェアハウスが実現する可能性が大きく前進します。
また、オーナーが利用者の住民票上の住所とすることを許容する、そうすれば希望に近い結果が大幅に現実のものとなります。
これらは通達が元となっている基準ですから、裁判所の判断がまた違った結果になるリスクはあります。
しかし有利な条件が得られるのは事実なので、運営許可の実現を目指す際の一つの基準にはなるでしょう。
シェアハウスと呼べば旅館業に該当しない?
一方で、シェアハウスと呼べば旅館業に該当しない、これは一つの根拠である程度の説得力を持った説明です。
規制緩和の後押しもあって、基準の見直しは適法に当てはまる施設の増加に結び付いています。
延床面積や階数に寝室数の基準が明確になり、自動スプリンクラー設備の制限はなく、幅員50センチ以上の屋外通路確保時の窓先空地も不要になっています。
加えて、廊下の幅員制限なしや路地状敷地の施設建築許可など、規制の緩和事項が幅広く明確化されました。
基準が明確になったということは、条件を満たして運営を始めさえすれば、認められる可能性が十分に高いわけです。
細かい評価を受ければまた違ってくるかもしれませんが、少なくとも基準を一つずつ確認して満たせば、問題なく不動産投資が始められるスタート地点に立てます。
運営する施設が旅館業に該当しない限りは、特別な許可の取得は不要で資格も問われません。
つまり不動産投資を始めようと思い立てば、今からでも手間なく始められることを意味します。
規制緩和は大きな追い風となったので、本格的に計画したり検討する価値が高まっています。
満たすべき基準が明確でクリアに必要なハードルが低い、それは不動産投資家にとって見過ごせない魅力です。
正しいサービスの提供さえ行われれば、指摘を受けたり旅館業の許可取得が求められることはないでしょう。
物件の作りと提供するサービスに気を付けることで、後は清掃と寝具の取り扱いを利用者任せにすれば、旅館業に該当しないシェアハウスの完成です。
これで提供開始前に客観的な適法性の確認を受ければ、安心して経営を始めたり利益確保に注力することができるようになります。
投稿者プロフィール

- サラリーマンをしながら不動産投資を始めて、2011年にセミリタイアしました。弊ブログでは「不動産投資のリアル」をテーマに、お金や資産形成の手法について書いています。1983年生まれ・九州出身・某大学商学部卒・既婚
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